マーケティングの話になると、つい派手な広告手法やSNSでバズった事例に注目しがちです。
でも、実際に「売れる仕組み」をつくるうえで大切なのは、
もっと地味だけれど本質的な考え方だったりします。
そのひとつが「4P分析」です。
もちろん!めちゃくちゃ知ってるよ!基本だよ!
はじめて耳にする方も、なんとなく聞いたことがあるという方もいるかもしれません。
正式には「マーケティング・ミックス」とも呼ばれ、
Product(製品)、Price(価格)、Place(提供場所)、Promotion(販売促進)
の頭文字を取ったこのフレームワークは、1960年代にアメリカの学者ジェローム・マッカーシーによって提唱されました。
そして「現代マーケティングの父」と呼ばれるフィリップ・コトラーが、
自著の中で体系的に紹介したことにより、世界中のビジネスの現場でスタンダードな分析法として根づいています。
なぜ、いまだにこの考え方が使われ続けているのか?
答えはシンプルです。
どれだけ時代が変わっても、人が「買う」という行為の構造は大きく変わっていないからです。
「なぜ人は買うのか」
「なぜ人は買わないのか」
それを分解して整理できるのが、この4Pなのです。今日はそんなお話を
売れない理由を感情ではなく構造で見る
売りたい商品が思うように売れないとき、どうしても私たちは感情的になってしまいます。
「せっかくいいものを作ったのに」
「広告も出しているのに、なんで反応がないんだろう」
そんなときこそ、4Pを思い出してみてください。
4つの視点から、自分たちの戦略にどんな“ズレ”があるのかを冷静に見つめ直すレンズになります。
1. Product(製品):「何を売るか」だけでは足りない
最初に確認すべきは、「Product」製品の視点です。
これは「何を売るのか」という問いだけでは終わりません。
むしろ本質は、「誰にとってどんな意味があるものなのか」を見極めることにあります。
“良いもの”と“必要とされるもの”は、似て非なるものです。
どれだけ素材にこだわっていても、ユーザーの課題や生活にフィットしていなければ選ばれません。
たとえば、丁寧に手焼きしたグラノーラがあったとしても、朝の支度で忙しい人にとっては
「ちょっと手間な食べ物」で終わってしまう可能性があります。
時間がない人なら、「inゼリー」など手軽なものを選ぶはずです
ここでいうターゲティングは
朝が忙しくてもしっかりとした栄養補給ができる独身の社会人がターゲットとなるでしょう
だからこそ、商品のスペックだけでなく、
「いつ・どこで・誰が・どんな気持ちで使うのか」まで含めて設計することが重要です
いつ=朝
どこで=会社に向かう時
だれが=独身の社会人
どんな気持ち=朝ごはんは抜きたくない人向け
2. Price(価格):金額ではなく、納得感の話
次に考えるべきは「Price」価格の視点です。
ここで大事なのは、「価格=金額」ではなく、「その価値に対して納得できるかどうか」という心理的な基準です。
価格が安ければ売れる、高ければ売れない、という単純な話ではありません。
先程のinゼリーでも、デスクでの食事禁止というところもあるため
飲み物としてカテゴライズされているinゼリーは、それを200円で買えるなら安く感じます
つまり、重要なのは「その値段に納得できる理由があるかどうか」。
価格の背景、ブランドとの整合性、価値の伝わり方など、すべてを含めて価格は設計するべきです。
3. Place(場所):出会いの設計がすべてを左右する
次に考えるべきは「Place」商品の届け方、提供場所に関する視点です。
物流や流通という意味もありますが、
それ以上に「どうやってお客さんと出会うか」という接点の話でもあります。
どれだけ良い商品で、価格設計が適切でも、
それが必要としている人の目に入らなければ意味がありません。
出会いの設計が甘いと、すべての努力が空回りします。
たとえば、無茶苦茶どタイプな女性がいたとして、その女性もあなたのことがタイプだったとしても
出会わなければ付き合うことにはなりません
ただ、今の時代マッチングアプリを使用して、自分の周り以上の出会いが可能です
場所が広がっていますね
先程のinゼリーを例に出すと、軽食のコーナーに置くよりも、飲料水を置いている所のほうが
目が付きやすく「あ、これCMのやつだ!」となってくれそうです
軽食コーナーは主婦層が行っていることが多いため、ターゲットの独身の方には不向きと考えます
ターゲットはどこにいて、どんなタイミングで「欲しい」と感じるのか?
それを知ることが、Place戦略の核心です。
4. Promotion(販促):一貫性がなければ、すべてが台無しに
最後に「Promotion」販売促進や広告活動に関する視点です。
ここをがんばる企業は多いです。
SNSを更新し、広告を打ち、チラシを配る――でも、結果が出ないことも多々あります。
その原因は、たいていの場合、Promotionだけが他の3つのPと整合していないことにあります。
たとえば、「高級感のある美容クリーム」を“安さ重視”のチラシで宣伝してしまえば、違和感が出てしまう。
いくら丁寧に作られた商品でも、伝え方ひとつで「安っぽく」見えてしまうのです。
プロモーションとは、ただ情報を拡散する行為ではありません。
Product、Price、Placeと一貫性が取れてはじめて、「伝わるマーケティング」になるのです。
inゼリーでいうと、「戦う男のためのエネルギー補給」などCMをしていました
ただ一番売れる要因となったのは
スポーツ選手との連携、10秒チャージの宣伝
またまた、試飲など企画をして大人気となりました
お金を持っている企業だからこそ、やれたことなのかもしれませんが、
試飲は試せそうですね
今なら口コミで広がる可能性もあるわけですからね
森永「inゼリー」V字回復で過去最高額も間近 SNSで見つけた金の卵:日経クロストレンド
↑この記事にも口コミから受験生を支える栄養ドリンクとしてなくてはならない存在になっています

すべての「届けたい人」へ
4P分析は、大企業のマーケターだけの道具ではありません。
小さな飲食店、ECをやっている個人、フリーランスのクリエイター。
何かを誰かに届けたいと思っているすべての人にとって、大切な道具です。
広告費をかける前に、SNS運用に力を入れる前に。
まずは、この4つの視点から、自分のビジネスを見つめ直してみてください。
それだけで、「なぜまだ届いていないのか」に気づけるかもしれません。
そして、その気づきこそが、売れる仕組みづくりの第一歩になります。